百草サロンコーディネートシリーズ③
家で暮らす時間が長くなってから、季節が一周しようとしています。
着心地を求め、気候に合わせ調節し、季節感を感じることはもちろん、
意識や気持ちのスイッチを入れるためにも、衣服は大切だと思います。
長く愛せる衣服を大切に着て、素材の由来や作り手に想いを馳せながら力を貰い、
自分だけの好きなコーディネートを楽しみ日々を過ごしたいものです。
衣服に限りませんが、何を選び使うかにより、どのような仕事が、ここ日本に、世界にずっと残って欲しいかを左右する行為になることを、微力ながら感じています。
使えなくなるまで何シーズンも(ものや頻度、扱い方により何十シーズンも)着られる衣料品を、自信を持ってご紹介いたします。
今回のコーディネートでは、寒さの中に春の日差しの明るさを感じるような白を効かせた、まとめやすく他の組合せもしやすいモノトーンのコーディネートです。
基本の晒mon Sakata 30天竺フィットT シャツ長袖に、重ねサロンの白を結びばきし、フレアゴムスカート (薄地ウール 黒×グレーギンガムチェック)を重ねて履きます。暖かくなれば、また秋口には、この二枚で軽やかに。今はまだ冷えますので、この2枚の重ねばきの上から、モールスキンの単サロンを、ガシッと基本の着付けでしっかりと固定します。裾の出方などはお好みで、重ねサロン白の結びばきや、その上に履くフレアゴムスカートを履く高さ位置を調節して。裾が層になって表情があり、また足元が暖かい着こなしとなります。
着衣写真では、同じ重ねの順番ですが、フレアゴムスカートを胸上まで引き上げて、ジレ風にする着こなしです。暖かく、Tシャツ一枚着では気になる部分を覆ってくれます。
春先からは、モールスキンとガーゼ重ねサロンを重ねて履き、ぜひ素足で。
[各アイテム紹介]
■mon Sakata 30天竺フィットTシャツ長袖 晒
第二の肌、と言われるほど、肌触りと着用感のストレスの無いベーシックな30天竺生地を使用したmon Sakataの代表的なTシャツのフィットタイプ。
ぴったりと体に沿った美しい形はフィット感に優れ、秋口から寒さの残る季節に特にお勧めです。首回りや袖口、裾も細いロックがどんなコーディネートにもデザインの邪魔をせず、ひどく伸びてくることもありません(身体に沿った形に、自然に馴染んできます)。
「mon Sakata」坂田敏子 プロフィール
1977 古道具坂田の一角に子供服mon Sakataを始める
1983 独立して目白通りに移り、大人の服が中心となる
1997 新装mon Sakataに於いて20周年記念「糸・布・衣展」 浦京子・安藤明子・坂田敏子
2002 25周年を記念して『Sanmarutenjiku Fit T』出版(編集・山口デザイン事務所、撮影・奥秋貴子)
2017 40周年記念『40th mon Sakata 3.6』を出版(編集・山口デザイン事務所 写真・奥山晴日)
2018 大分県竹田市の作家達とコラボレーション(沼田塾)
沖縄県宗像堂のパンの発酵時に敷いていた布でインスタレーション(SHOKA)
各地のギャラリーにて展示会を続けている
■ANTIPAST ポンポンソックス
黒にコントラストの利いた白ラインカラーを配し、同色の白いポンポンが可愛いアクセントに。
肌がたくさん出てしまうのが寒かったり気になる時は薄手長めハイソックスに重ねばきしたり、薄手タイツやレギンスと。(レギンス・タイツを履く場合は白の重ねサロンは履かないでください。タイツやレギンスにくっついてしまいます。)
「ANTIPAST」ブランド紹介
テキスタイルデザイナーとして活動していたジヌシジュンコとカトウキョウコが,雑誌や広告用のコスチュームやアクセサリーを共同で製作し始めたことからブランドをスタート。
イタリア料理の前菜を意味するブランド名には、ファッションにおいて洋服をメインディッシュとすると小物は前菜にあたり、ファッションの楽しみを刺激する存在でありたいという想いが込められている。
また、ANTI-PAST“過去ではなく"=未来に向かってという意味もあり、自由にスタイリングを楽しむためのオリジナリティ溢れるクリエーションを行っている。
■単(ひとえ)サロン モールスキン ブラック
筒状に真っ直ぐ縫い合わせた一重のサロン(単サロン)で、生地が厚地のため帯状の平紐を付属しています。筒状の布に身体を入れ、筒状の布をウエストに沿わせていき、余った部分を大きくタックにして右横に折り返し、腰紐を二周かけて留めますが、サロン本体との設置面が広い平紐の場合は、一周して蝶結びや、方わな結びにしてポイントにしても。ウエストの嵩張りも少なくすっきりします。やや滑りやすい生地ですので、紐をかけた上の布を折り返すようにしてください。裾捌きは良く、まとわりつくこともなく、レギンスばきに一枚巻くのにもお勧めです。
モールスキンとは、モグラの毛皮という意味ですが、それとは別にモグラの毛皮の感触をもち、片面または両面を起毛した厚手のコットン織物のこともいいます。
このサロンの生地は、片面が起毛したモールスキンです。表面は起毛してふんわりやわらか、裏面はフラットで目の詰まった織りとなっており、しっかりとした厚みの中に、くったりとしたやわらかさがあります。丈夫で、保温性も高い生地です。
・起毛した表情は別珍のようでもあり、またバックスキンにも似て、着こなし次第でエレガントにもカジュアルにもなります。
・起毛が片面であることから、真夏以外年間を通しお召しになれます。
・素材感を対比させるように、透ける素材のサロン(単サロン薄地リネン/薄地コットンリネン、裾なめらかサロンなど)また同様の素材のフレアゴムスカートと合わせても。
■フレアゴムスカート (薄地ウール 黒×グレーギンガムチェック) 84㎝丈
裾は細い三つ折りミシン始末となっており、透け感のある表情を楽しめます。
やや長めの丈ですので、ウエストから腰、履く位置によりいろいろな丈になります。低めに履いて長めのスカートなサロンの裾からあしらったりも。
(以下はフレアゴムスカートの説明です)
・フレアゴムスカートは、その名の通りフレアの入ったゴムのスカートなのですが、サロン同様、型紙を用いず残布が出ないように、台形を連続させるように裁断し、耳が裾かウエスト側になるように作っております(耳がそのまま使えないものは、細い三つ折り始末を施しています)。
・ポケット無しのシンプルなスカートです。
・フレアサロンに軽くゴムを通した、部品としての一重(ひとえ)のスカートです。単品で履ける厚みのものや透け感を楽しむ薄地のもの、様々です。
・サロン同様、中や外に重ねばきを楽しめますが、サロンと異なる点は、着付け不要でサッと履けて、着崩れを気にしなくて良い、サロン着付けの際の前のタックがないために嵩張りません。
・身体に添いやすい、しなやかな生地のサロンの中に履くと、Aラインに、ふわっと軽くボリュームをプラスするパニエ効果があります。ペチスカートにも、オーバースカートにもなります。
■重ねサロン 2.0段 白
今回は、ウールのフレアゴムスカートの下、素肌に触れる肌着がわりに取り合わせました。フレアゴムスカートなしでサロンと履く場合は、一緒にサロンを重ね合わせて一緒に着付けると簡単です。足元から覗く爽やかなガーゼの白とモールスキン のコントラストを楽しんでください。
【単(ひとえ)サロンと重ねサロン】
共布の腰紐付きの単(一重・ひとえ)のサロンのことを「単(ひとえ)サロン」と呼んでいます。外側に履くように作っております。
それに対し、紐のついていない「重ねサロン」は、単サロンの内側に重ねるためのサロンで、重ねたまま一緒にタックを取り、単サロンの腰紐を用いて履くため、腰紐は付いておりません。
素肌ばきの時に肌に接し汗取りや保温の役割を果たす、肌着やペチコートの役割として作っているサロンで、裾から、また腰紐上の布を折り返し好きな量を覗かせ配色を楽しむことができる他、巾を1/2にしてスヌードにしたりタオルや風呂敷にもなる多様布です。
素肌ばきをせず、レギンスやタイツの上に重ねサロンが接する場合、ガーゼと、レギンスまたはタイツがくっついて、足捌きが悪くなったり、重ねサロンが中でめくれあがってきてしまう事があります。それを解消するには、①着付け(ウェストと腰の差を利用してぴったりウエストに当たる布をウエストに沿わせてタック部分が斜め下になるようにAラインに着付けることでかなりくっつきやすさは解消されます)②足が引っかからず出やすくするよう、重ねサロンと、レギンスやタイツの間に、滑りの良い生地の(ペチ)スカートや(ペチ)パンツを履いていただくことにより解消します。百草の製品では、20/10ガーゼゴムズボンSS・S(定番丈でサロンを履く場合)・M・L(足首・マキシ丈でサロンを履く場合)、ペチスカート、ペチパンツ、フレアゴムスカートなどをお勧めしております。
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【サロンの着付けなど】
・momogusaネームが縫い付けてある方を裾裏にし、履くときに左下に合わせて下さい。
・リーフレットの着付けを参照にしながら、着付けしてください。仁王立ちに立ち、タック先が右サイドに来るようにウエストから腰にぴったりに、力一杯タック先を引っ張って沿わせ、紐はお腹から両手で背中へ、沿わせるようにして置き、両手で前へ持ってきて、説明のように固定します。裾広がりに着付けますと足捌きもよく着崩れしにくいです。
・着付けに慣れるコツは、とにかく毎日繰り返し履くことです。普段着・外出着・仕事着・お洒落着に。組み合わせるコーディネート次第で楽しめます。また寒い時期は家で過ごす時間に、着衣のどんな服装の上にも、固定できる膝掛け感覚で気軽に巻いていただくのをお勧めします。
・また外出着としてだけでなく、家での暮らしの中で、例えばお風呂上がり、ガウンのように腰に巻いたり、スヌードやケープとして羽織るものもお勧めです。
・お洗濯のおりは、本体と共に紐も一緒に洗って下さい。
(経年変化を同じにするため)
・リーフレット掲載の畳み方で保管して下さい。
・百草サロンは、本来は「着付けを対面でお伝えし、実際に着付けを体験して頂くこと」を販売の一部として考案した衣服です。
通信販売のみでご購入頂きました場合、できましたら最寄りの店・ギャラリーでの個展やサロン着付け講習会、百草にて、是非実際の着付けを体験いただける機会をお持ちいただけますと幸いです。取り扱い店・ギャラリーや展覧会予定を百草ホームページ「安藤明子 展覧会予定」でご確認くださいませ。
・百草でも常時季節のサロンをご紹介し、着付けをさせていただけます。できましたら通信販売でお求めいただきました旨をお伝え頂いたり、事前にご連絡いただけますと基本からの着付けをお伝えさせて頂き、また安藤明子よりできるだけ着付けさせて頂きます。企画展でサロンのご紹介をさせていただく機会もございます。→ホームページ「企画展」をご覧ください。
不定期で行う「サロン着付け講習会」も是非ご利用くださいませ。
ご遠方の方には恐縮でございますが、状況に応じ、お出掛けいただけましたらと存じます。お待ち申し上げております。
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□単サロン モールスキン ブラック 84㎝丈
cotton100%
・少し起毛している素材のため、たたみシワなどが気になる場合は
裏側から蒸気アイロンをかけていただくと目立たなくなります。
□フレアゴムスカート 薄地ウール 黒×グレーギンガムチェック
84㎝丈
・お手入れは、ぬるま湯で洗濯機ドライマーク洗いまたは手洗いが可能です。
□重ねサロン 2.0段 白 93㎝丈
・腰紐はついておりませんので、一緒に履くサロンの紐を用いて重ね履きしてください。
・またはサロンを紐で履いた上に、またスカートやパンツ、レギンスなどの上に腰紐を使わない縛りばきも。
□mon Sakata フィット長袖 晒
cotton100% 身幅40㎝/肩幅35㎝/袖丈55㎝/袖幅14㎝
(長袖は、私安藤明子が着ると、8〜9分丈となります 参考身長 164cm)
□ANTIPAST
BLACK
wool 70% nylon30% かかとから履き口まで約20㎝
ボンボンはwool 100%
計5点